私がアダルトビデオに出演させられるまでに起きたこと「今思えばそれは契約書…」AV撮影強要被害の実態「家畜のような存在になってしまった」

AV レイプ

若い女性が、アダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられる被害が広がっている。

警視庁は13日、都内の芸能プロダクションの元社長ら3人を労働者派遣法違反(有害業務就労目的派遣)などの疑いで逮捕したと発表した。
被害者支援団体にはAV出演に関する相談が120件寄せられている。

「問題をより多くの人に知ってほしい」と、被害者の1人の20代女性が取材に応じた。
(朝日新聞経済部記者・林美子、高野真吾)

「いいんじゃない。登録だけしておこうか」

女性は数年前、アルバイト先の社員から「グラビアのバイトをしてみないか」と誘われた。

芸能関係に特に興味はなかったが、「1回簡単に話を聞いてみればいいよと、気軽な感じで」言われたという。

話を聞くだけのつもりで、プロダクションの事務所を訪れた。

事務所では、社長を名乗る男が女性を上から下まで見て、その場で1回転するように言い、30秒ほど全身をチェックした。

「いいんじゃない。登録だけしておこうか」と、書類に名前、年齢や住所などを書くよう言われた。詳しい説明はなく、十分に読む時間もないままだった。

「今思えばそれは契約書。当時は知識、注意力がなかった」。身分証明書のコピーも取られた。

「ばらし代が何百万円とかかる。親に請求が行く」

2、3日後、携帯電話に連絡がきた。写真スタジオで宣伝用の写真を撮った。

「体に傷やタトゥー(入れ墨)がないか確認する必要がある。みんなそんな風に撮影しているから」とカメラマンに言われ、上半身裸の撮影をした。

「嫌です」という雰囲気ではなかった。ほかには使わないという言葉も信じた。

数日後、社長から「AVの撮影が決まりました」と電話が来た。この時初めて、AVという言葉を聞いた。

あわてて事務所の男性マネジャーに電話をし、「そんなつもりはない。できない」と告げると、事務所に来るよう指示された。

事務所にいくと小部屋に通され、男性マネジャー3人にかわるがわる説得された。1人は「ふざけるな。制作は始まっているから、ばらし代(違約金)が何百万円とかかる。親に請求が行く。周囲にも知られるだろう」と怒鳴り散らした。

びっくりして泣いていると、慰め役が「内緒にしておけば大丈夫」。もう1人は淡々と論理的に逃げ道をふさいだ。心身ともに疲弊した。

契約書、上半身裸の写真、身分証のコピーが頭にあった。「ここから出たい。私一人が我慢すればいい」。
終電間際まで3、4時間の出来事だった。

「家畜のような存在になってしまった」

誰かに言うと広まってしまうという恐怖心が生まれた。
自分の落ち度を責める自己嫌悪も手伝い、親にも友人にも相談できなかった。

最初の撮影は約1カ月後。控室の隅で泣いているうちに出番の時間になった。男性と性行為をする撮影が1日に2回あった。

羞恥心を壊され、何かがぷつんと切れた感じがした。屈辱感と悔しさと恥ずかしさで放心状態になった。

「人間としての尊厳を持たせてもらえない、家畜のような存在になってしまった」と思った。

泣きながら「やめてほしい」と繰り返したが、終了時にスタッフから「初々しくて良かった」と声をかけられた。
「自分の心を守るには心を閉ざして、忘れるしかない」と思った。

次々と撮影が組まれるようになった。秘密を抱えて友人とは距離ができた。事務所に「親にばれる」と言われ、一人暮らしを始めた。

完全に孤立し、相談相手はマネジャーだけ。撮影内容は過激になった。

数時間のうちに大量の水を飲むよう強制される撮影が何度もあった。手足の自由を奪われたり、一度に大勢の男性の相手をさせられたりした。

「みんなに必要とされるような人間になるといいよ」

「カメラを止めて下さい」と懇願し、「もうできない」と訴えても、「お前はただ耐えればいい」と言われるだけだった。

現場から裸のまま逃げたこともあったが、エレベーターの前で捕まって連れ戻された。

他の女性と一緒になったとき、着替えの最中に2人で泣きながら、「頑張って早く終わらせて帰ろうね」と励ましあった。

撮影は数年間続き、次第にひっきりなしに呼び出されるようになった。たびたびヘルペスやカンジタなどの性病にかかったが、「自己管理が悪い」と言われた。

円形脱毛症にもなった。事務所の人間に容姿の悪口を言われ、自分が醜いと信じ込む醜形恐怖症に陥った。

事務所の人間に何度も「やめたい」と訴えたが、初めての出演の時と同じような説得や脅しが繰り返された。

容姿に自信がないのを見透かされ、「撮影をしてみんなに必要とされるような人間になるといいよ」と言いくるめられた。

「本人の気持ちの確認を怠らないで」
「洗脳され、奴隷のように働いていた」状態が終わると、別の苦しみが始まった。

大量の作品が残り、ネットにも流通し続けることに悩み、何度も死にたいと思った。自ら命を断とうとしたこともあった。

「声を殺し、ただ時間がすぎるのを待っていた日々だった。今あるのは取り返しのつかない人生への後悔と、だまされた悔しさと、(作品が流通し続ける)未来への絶望」。

街を歩く若い女性を見ると、絶対に自分のような経験をしてほしくないと思う。

世間には「被害に遭う方が悪い」という声もある。「やらざるを得ない状況におかれた子が少なからずいることをわかって頂きたい。

プロダクションは、AV出演でその後の人生がどうなるかを考える余裕を与えず、『今我慢すれば終わる』ことばかり強調する。考える時間を与え、本人の気持ちの確認を怠らないでほしい」

支援団体への相談急増

被害者支援のNPO法人「人身取引被害者サポートセンターライトハウス」によると、AVに関する相談は2013年に1件のみだったが、翌年から急増して今年4月末までに120件に達した。
女性からの相談が約9割で、男性からの相談もある。

内容は「モデル契約のはずが無理やりAVに出演させられた」「無修整動画の販売を止めたい」などだ。

警視庁は、東京都渋谷区の芸能プロダクションの元社長ら3人を、同社に所属する女性をAV制作会社に派遣し、公衆道徳上の有害業務にあたるAVに出演させた疑いで逮捕した。

政府は今月2日に閣議決定した答弁書で、AVへの出演強要は予防と根絶が必要な「女性に対する暴力」に当たるとし、実態把握や相談体制づくり、民間支援団体との連携強化に取り組むとしている。

AVメーカーなどで作るNPO法人知的財産振興協会は22日、「今まで対応を自主的に行っていなかったことを深く反省する。

プロダクションにも働きかけ業界全体の健全化に向け早急な改善を促したい」との声明を発表した。

国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長の伊藤和子弁護士は「被害相談は今なお続いている。

無修正の動画が海外のサーバーから配信されるなど、被害の回復は非常に難しい。

意に反する出演をなくすための法規制が必要で、AV業界も被害を防止・救済する対策に真剣に取り組んでほしい」と語る。

【引用元:withnews】

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